飲める泥

飲まない方がいいです

美味い紅茶は何にでも合う

 朝から雨が降っていて、低気圧に弱い私はひどい頭痛に苦しみつつ目を開きました。恋人はすでに家を出る支度をしています。いつまでもベッドの上でだらだらとしている私を見て、恋人は今日は大学は何限からあるのかと聞きました。今日は2限からですと答えゆっくりと毛布をどかしてベッドから降りました。私は普段、しっかりと朝ごはんを食べないと活動ができない体質なのですが、今日ばっかりはどうにも体調がすぐれず何ものどをとおる気がしません。お皿を数枚あらって、小さなクッキーを1つとアロエヨーグルトをむりやり胃につめこんで、私は大学に向かいました。

 外は想像していたよりもずっと寒く、薄着をしてしまった私は寒い寒いとこごえながらひとりで駅へと歩きました。電車のなかでは大好きなクラムボンのベストアルバムを聴いていたのですが、あまりにも頭が痛くて音楽を聴くことすら困難になり途中で停止してしまいました。それからは目をつむり、ここ1年ですっかりなじみ深くなってしまった某線で大学まで向かいます。しかし、大学に持っていくお弁当を本当の自宅の冷蔵庫に入れっぱなしなので、1度本当の自宅に寄らなければなりません。正直面倒です。ただ、今日は本当に具合が悪かったので本当の自宅でお茶でも飲んでから大学に向かうのがちょうどよかったわけです。

 私は本当の自宅に着いて、頭痛薬を飲んでから、空腹を感じました。今日はもう2限は諦めようと決め、賞味期限が切れたおにぎりと昨日作った肉じゃがを電子レンジで温めました。だんだんと頭痛のせいでいらついていた心が落ち着いてきて、そしておそらく関係はないけれど昨日買った、たたき売りされていた期間限定だったはずの売れ残りのカップラーメンが食べたくなったのでお茶のぶんのお湯よりも多めにお湯をわかしました。うちには紅茶が何種類か置いてあるのですが、今日はパッケージにいちごのイラストがある、シャンパン風味の紅茶にしました。お湯を注いだ瞬間、ふわっと果物の甘くていい香りがします。ティーバッグのなかの金粉が飴色のお茶の中できらきらと揺れています。お腹を空かせた私は、枡野浩一さんの『愛のことはもう仕方ない』を読みながらおにぎりと肉じゃがとカップラーメンと紅茶を摂取しました。量が多くて結局肉じゃがはほとんど食べられませんでしたが、とても美味しかったです。私にはこれといって才能はないけれど肉じゃがを作る才能だけはあるようです。それにしても売れ残りのカップラーメンと美味しい紅茶の合うことといったら! さすがにジャンキーなカップラーメンとおしゃれな紅茶は合わないだろうと思い、うちに大量にあるクリスタルガイザーも机の上に置いていたのですが不要でした。潔くなくて本題がさっぱり伝わってこないけれどユーモラスな実録小説を読み、化学調味料マシマシのカップラーメンをすすり、香り高い紅茶を飲む。控えめにいって、アンバランスだけれどこれ以上ないくらいすばらしい最高の組み合わせでした。

 ろくな冷暖房設備がない部屋でぽかぽかに温まった私は、まだ次の講義まで時間があると余裕をぶっこいてひさしぶりに文章を書くことにしました。私という人間は単純なので、腹を満たし、美味い紅茶を飲んで、好みの文章を読めば元気になるのです。そんな大切なことを忘れていたのだから私はとんだ阿呆です。

 いま、大きなあくびが出ました。そろそろ眠くなってきたようです。だから寝ます。私は、私に合った生活しか送ることができないようです。それではさようなら、大学。おやすみなさい。